Cases 症例紹介

耳から異臭  マラセチア性外耳炎

マラセチア性外耳炎

症例概要

来院動物:犬(フレンチブルドッグ、3歳、去勢雄)

主訴:耳をかく・頭を振る・耳からの臭い

検査所見:外耳道の発赤と褐色の耳垢を認め、顕微鏡検査にて多数のマラセチアを確認。

診断:マラセチア性外耳炎


マラセチアとは

↑の黄色く囲っているところに見られるのがマラセチアです。

マラセチアは、犬や猫の皮膚や耳に常在する酵母菌(真菌)の一種です。

通常は問題を起こしませんが、湿気・アレルギー・皮脂分泌の増加などを背景に異常増殖することで、強い炎症と痒みを引き起こします。


主な原因

  • アトピー性皮膚炎や食物アレルギーによる皮膚バリア機能の低下
  • 耳道の通気性の悪さ(垂れ耳・耳毛の多い犬種など)
  • 高温多湿の環境
  • シャンプー後の水分残りや耳掃除不足
  • ホルモン疾患(甲状腺機能低下症など)

診断方法

  1. 耳垢の顕微鏡検査(スタンプ法・塗抹染色)
  2. 外耳道の視診・耳鏡検査
  3. 再発を繰り返す場合はアレルギー検査やホルモン検査も実施

治療

  • 外用薬(抗真菌点耳薬・ステロイド併用)
  • 重度例では耳洗浄や内服抗真菌薬
  • 原因疾患(アトピーやホルモン異常)の治療が再発予防の鍵となる

治療により多くの症例で1〜2週間以内に痒みや臭いが改善しますが、根本的な体質や環境要因を整えることが重要です。


猫のマラセチア外耳炎について

猫では比較的まれですが、高齢猫や基礎疾患(糖尿病・免疫抑制状態・慢性外耳炎など)を持つ個体に多く見られます。

犬と同様に耳垢が増え、黒褐色の耳垢や強い臭いを呈します。


当院での治療経過

初診時に耳垢検査で多数のマラセチアを確認。洗浄・外用薬治療を開始し、2週間後には耳の赤み・臭いがほぼ消失。

その後、アトピー体質による皮脂分泌過多が背景にあると判明したため、継続的なスキンケアと定期チェックを実施中です。


マラセチア性外耳炎は「耳掃除すれば治る」病気ではなく、上述したように’’皮膚や体質全体のバランスを整えること’’が再発防止の鍵です。

繰り返す耳の痒みや臭いは、ぜひ一度ご相談ください。

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