Cases 症例紹介

犬・猫のてんかん発作について

― 繰り返す発作、その原因と治療 ―


■ てんかんとは?

てんかんとは、

大脳の過剰な興奮により電気活動が繰り返し起こることで様々な症状を起こす慢性脳疾患です。

一度だけの発作ではなく、繰り返すことが重要なポイントになります。

発作の原因にはてんかんのみでなく、肝不全、腎不全、電解質異常、低血糖といった場合にも起こりうるため、

原因の特定にはしっかりとした精査が必要となる疾患といえます。


■ こんな症状はてんかん発作の可能性

  • 突然倒れて手足をバタバタさせる
  • 意識がなくなる/呼びかけに反応しない
  • よだれ・失禁・脱糞
  • 急に首を仰反る、不安そうにキョロキョロする
  • 発作後にふらつく・興奮する・ぼーっとする

数秒〜数分でおさまることが多いですが、繰り返す場合は要注意が必要です。


■ てんかんの種類

① 特発性てんかん(原因不明)

  • 最も多いタイプ(特に犬)
  • 1〜5歳で発症することが多い
  • 神経学的検査や血液検査、MRI検査などでも異常が見つからない

遺伝などの素因が原因が疑われますが、正確な原因の特定は難しいことがありますが、

投薬による長期管理によりコントロール可能な場合が多いです。


② 構造的てんかん

  • 脳炎
  • 脳腫瘍
  • 脳出血、脳梗塞
  • 頭部への外傷

発作以外にも失明や旋回、歩様異常なども見られる場合があり、MRI検査や脳脊髄液検査で原因が特定可能となります。


③ 反応性発作(全身疾患)

  • 低血糖
  • 肝不全、腎不全などから起こる発作
  • 中毒
  • 熱中症

臓器障害などの二次的な要因により脳に過剰な興奮をもたらし発作が起こります。

血液検査や身体検査での異常で原因を突き止め治療を行います。


■ すぐに受診すべき状態

以下の場合は緊急対応が必要です:

  • 発作が5分以上続く(重積発作)
  • 1日に何度も起こる(群発発作)
  • 初めての発作
  • 発作後も意識が戻らない

このようなケースでは命に関わる可能性があります。


■ 当院での診断の流れ

Step①:問診・動画での症状の確認

問診だけでは原因の特定が非常に難しいため、動画での発作の様子は診断に非常に有用です。

既往歴や中毒物質の摂取の有無も確認し、どこに異常があるかをここで大まかに判断します。

Step②:血液検査、レントゲン、超音波検査による脳以外の疾患の除外

脳だけでなく臓器異常が原因なこともあるため、肝臓・腎臓の項目、炎症マーカーや電解質などチェックします。

Step③:画像検査(MRI)

ここで脳疾患の有無を確認します。

レントゲンや超音波検査では脳疾患の特定は行えないため、原因特定にはMRI検査は重要となります。


■ 治療について

● 継続治療(発作予防・コントロール)

動物種によって使用する薬の違いはありますが、主に以下の薬を使用します:

  • フェノバルビタール
  • レベチラセタム
  • ゾニサミド
  • ・臭化カリウム

動物の年齢や状態、薬への反応性も合わせ、その症例に応じた薬を選択します。


■ 飼い主様へのお願い

  • 発作時は無理に触らず、周りに危険なものがないようにする
  • 発作時の時間を測定
  • 動画の撮影
  • どういう時に発作が起こりやすいか日記をつける

■ まとめ

てんかんは付き合っていく病気ですが、

適切な治療でコントロール可能な病気でもあります。

一度だけだから様子を見よう ではなく、

繰り返す前に評価することが今後の治療に向けても重要となってきます。

当院グループでは診断だけでなく、診断後の定期的なMRIフォローアップも実施し、治療の反応性をより確実に行う体制を整えています。

気になる症状があれば、

お気軽にご相談ください。

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